再々改訂版 2025/05/28
再改定版 2025/05/24
著者 久米原 栄
- コラッツ予想とは
- 証明の要約
- 以下証明する)
- コラッツ操作を施した場合のタイプ毎の動き
- タイプ遷移図
- タイプ型と、第2桁の偶数・奇数、3桁以上の整数への拡張
- タイプ別の縮小と拡大の概略
- 15タイプからの遷移
- 15が最小桁から連続する場合についての考察
- タイプ15の連続からの脱却
- 途中にある15についての考察
- 他のタイプから15タイプへの遷移
- 最小桁の数(タイプ)の変化による縮小と拡大の実際
- (7)(11), (11)(1), (11)(9)からの遷移について
- 2桁の数について、コラッツ予想が成り立つことの証明
- 15タイプを抜け出した時にどうなるのか?
- 相似形の破れについて
- 奇数分岐の効果の累積について
- 2桁の整数と3桁の整数のペアの収束
- 2桁の整数と4桁の整数のペアの収束
コラッツ予想とは
コラッツ予想とは、任意の正の整数を選んで、nが偶数なら2で割り、nが奇数なら3を掛けて1を足すという操作を繰り返すと、どんなnから始めても有限回の操作で1に辿り着くという主張である。
証明の要約
任意の正の整数を16を基数としてan16n+an-116n-1+…+a116+a0と表す(an, an-1, … a1, a0は0から15までの整数とする)。ある任意の正の整数に対して、コラッツ操作を施す時に、それが偶数なら、その偶数が含んでいる因数2の個数分「2で割る」処理をして、奇数を取り出すという処理は、コラッツ操作の前処理として考えることにしよう。こうすると、コラッツ操作の対象となるのは奇数ということになる。もちろん、計算処理の途中で偶数が現れることはある。奇数nに対して、(3n+1)/2の処理をして得られた答えに対して、更に「割る2」の処理が可能ならば、「割る2」の処理をして、答えから因数2を取り除くという一連の処理をコラッツ操作1回分として計算することとする。
コラッツ操作の対象を奇数として、16を基数とする表現で表すと、最小桁によってタイプ分けすることが出来る。つまり、あらゆる正の奇数は、タイプ1、タイプ3、タイプ5、タイプ7、タイプ9、タイプ11、タイプ13、タイプ15の8つのタイプに分けることが出来る。
任意の整数にコラッツ操作を施すと、タイプ毎に同じ動きをする。そして、あるタイプから別のタイプに遷移する。このタイプ遷移をグラフに表すことが出来る。これを本稿ではタイプ遷移図と称している。タイプ遷移図はどのタイプからどのタイプに遷移するかをグラフ化したものとなる。あるタイプから別のタイプに移るときにいくつかの分岐先がある。2つに分岐する場合、4つに分岐する場合、8つに分岐する場合である。
タイプからタイプへの遷移では、最小桁が奇数になっているが、分岐の途中のタイプ内の処理では、偶数となっている。3n+1の計算をしたときに、最終桁に因数2が1つ含まれるか、2つ含まれるか、3つ含まれるかである。ただし、タイプ5のようにタイプ5の中でのコラッツ操作の結果、因数2が4つ以上含まれることもある。
(3n+1)の結果、最小桁の因数2が1つのときは割る2の処理を1回しかすることが出来ないので、コラッツ操作での結果は、3/2となる(タイプ3、タイプ7、タイプ11、タイプ15)(3n/2ではなく(3n+1)/2なので正確には約3/2であるが、今後の説明ではこの「約」は大勢には影響ないので省略している)。これに対して、因数2が2つ含まれる時(タイプ1、タイプ9)は、3/4となり、因数2が3つ含まれる時(タイプ13)は、3/8となる。更に、タイプ5は自身の処理の中で最低でも3/16となり、必ず最低でも1桁小さい値になる。
因数2が1つの場合は、分岐は1回、分岐先は2つとなる。因数2が2つのときは、分岐は2回、分岐先は4つ、因数2が3つのときは、分岐が3回で、分岐先は8つとなる。つまり、タイプ遷移図は2分木の構造を持つ。どの分岐先に行くのかは、下から2つ目の桁の偶数、奇数の違いによる。因数2が2つある場合は、一旦割る2をした段階で、最小桁はまだ偶数である。これは、仮のタイプといってよい。この時の下から2桁目の偶数、奇数によって、更に分岐先が決まることになる。因数2が3つ含まれるタイプは、2回目の割り算によっても、まだ最小桁は、偶数である。従って、この時の下から2桁目の偶数、奇数によって更に枝分かれすることになる。
2桁の整数にコラッツ操作を施してみると全ての数が1に収束することが分かった。1に収束するまでに必要なコラッツ操作の回数は、多い場合は46回、少ない場合は1回である。そして、末尾2桁の数の並びが同じ2桁の整数と3桁の整数ペアの動きを観察してみると、最初の数回のコラッツ操作では、タイプ(最小桁の数)と第2桁が同じ場合もあり、タイプは同じだが第2桁は異なり偶奇だけは同じという場合があることが分かった。タイプ遷移図を見ると、ルートの枝分かれのポイントが第2桁の偶奇であることが分かる。タイプが同じで第2桁の偶奇が同じなら同じルートを辿る。しかし、何回かのコラッツ操作の後に、2つのペアの第2桁の偶奇が異なってしまうことがある。こうなると、分岐先としてタイプ遷移図上の異なったルートが選択されることになる。
2つのペア同士の第2桁の偶奇が逆転してしまうのは、3桁の整数の第3桁の奇数の影響である。第3桁が奇数の時は、タイプ間での遷移の際の(3n+1)/2の操作(+1は第2桁の計算結果とは無関係なので3n/2と表現する)と、タイプ内での分岐の操作を行うための「割る2」の処理で(表現を簡略化するために「/2」と表現している)、桁上がり、桁下がりの微調整が必要となる。例えば、タイプ内の「割る2」の処理をするために、その前段階の微調整として、a2はa2-1としてa1+16とするか、a2+1として、a1-16とするかの処理が必要となる。そしてこの後、「割る2」をすると、第2桁にはその効果として「+8」あるいは、「-8」という影響が残ることになる。次の操作時でも、第3桁が奇数だと、残る影響は「+8+4」、「+8-4」、「-8+4」、「-8-4」となる。まだ、第2桁の偶奇には影響は与えない。しかし、第3桁が奇数の影響は段々と累積するとやがて「+8+4+2+1」、「+8+4+2-1」、「+8+4-2+1」、「+8+4-2-1」、「+8-4+2+1」、「+8-4+2-1」、「+8-4-2+1」、「+8-4-2-1」、「-8+4+2+1」、「-8+4+2-1」、「-8+4-2+1」、「-8+4-2-1」、「-8-4+2+1」、「-8-4+2-1」、「-8-4-2+1」、「-8-4-2-1」となり、第2桁の偶奇に影響を与えてしまう。これは連続して奇数が続くという前提であるが1回の奇数の出現を単独で計算したとしても、±16 → ±8 → ±4 → ±2 → ±1となり、「割る2」の処理の4回目で偶奇逆転の効果が発現することは同様である。
これは、タイプ間での「3n/2」の「割る2」でも、ほとんど同じような影響を与えることが分かった。第2桁の偶奇に影響が及べば、そこから先は、2つのペアのタイプ遷移図上のルートが異なることになる。つまり、末尾2桁が同じ2桁の整数と3桁の整数のペアは、コラッツ操作を施す度にタイプと第2桁を変化させるが、末尾2桁の偶奇が一致している限り、同じタイプに遷移するが、第2桁の偶奇に影響が及べば、遷移先がお互いに異なるタイプとなってしまう。同じルートを通る限り、その間の縮小・拡大は2桁の整数も、3桁の整数も全く同じである。
第3桁の奇数の影響がないのは4回までである。コラッツ操作のタイプ遷移の際の「3n/2」の処理あるいはタイプ内での「/2」の処理が3回続くと、第2桁に影響が出るが、最後の1回分の遷移では、2つに枝分かれするだけなので拡大率が同じである。つまり、「3n/2」あるいは「/2」が4回続くまでは同じ拡大率で同じルートを通る。「3n/2」あるいは「/2」の効果が4回分累積するまでに証明済みの整数(小さい整数から順に証明するとすれば、操作の起点となった自分自身よりも小さい整数にまで縮小した時点で証明済みといえる)がいくつあるか具体的に検証した。2桁の奇数は全部で128個あるが1については証明の必要がないので、127個である。しかし、本文の中では説明を簡略化するために128個としている。128個について具体的に検証した結果、90個については、「3n/2」あるいは「/2」が4回までで証明済みの整数にまで縮小していることが分かった。「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」の間に証明済みの値にまで縮小している。残りは38個である(正確には37個であるがここは38個として計算している)。この残りの38個の整数は拡大していることになる。しかし、拡大しても2桁の整数の範囲にとどまっているなら、第1回目の「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」と同じように、2回目でも証明済みの整数にまで縮小しているはずである。2桁の数が2桁のままだということは、ペアになっている3桁の整数は3桁のままである。何故なら、2桁の整数とペアになっている3桁の整数はタイプ遷移図上の同じルートを通っているので拡大率が同じだからである(プラス最後の1回分の遷移についてもそのように言える)。従って、3桁の状態を維持した整数は、ペアとなっている2桁の整数とのペアを解消して、新しいペアを組むときも1回目と同様の条件でペアを見つけることが出来、1回目の「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」と同じ条件で証明済みの整数にまで縮小する。そこで、残りの38個のうち、「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」が奇数の連続出現で4回で累積効果が顕在化してしまうという最悪の条件でも(これについては具体的には、0.06~0.07程度であることが分かった)2桁にとどまり続けるものを探したところ、9個見つかった。これについては証明済みの整数に縮小するまでずっと2桁の整数という状態を保ったままであった。さらに初めは、2桁だが、何回かの処理を続けるうちに3桁になり、更にまた2桁に戻るものもあった。その中で、「3n/2」あるいは「/2」の処理回数が4回目に該当する時に2桁に戻っているものもあった。それが5つ見つかった。つまり、14/38は2回目の「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」でも証明済みの整数にまで縮小することが分かる。これ以外は更に拡張するか、あるいは縮小するにしても、1回目の「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」終了時点にまで縮小するだけで、証明済みの値にまでは戻れないことになる。「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」は毎回同じ条件で始めることが出来るので、残りの14/38ずつずっと証明済みの整数にまで縮小していくことになる。その結果、「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」を15~20回程度行うと全ての3桁の整数は証明済みの整数にまで縮小することが分かった。これでも足りないと考えるなら、「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」を何度でも追加で行えばよい。そして、その度に残ったもののうち14/38の割合で証明済みの整数にまで縮小するものが増えていくので、必ず全ての3桁の整数が証明済みの整数にまで縮小していくことになる。
計算は厳格を期すために、第3桁が連続的に4回連続して奇数だとしても(割合は既に説明したように0.06~0.07程度)こうなるという形で進めたが、具体的に計算してみると、奇数の効果が4回分累積するまでには「3n/2」あるいは「/2」の処理回数は5~6回が多く、平均的には7~8回程度で、場合によっては11~12回の処理ができる場合もあった。これについては、第3桁の最初の数がどのような数であったかで、どのように遷移図上のルートを通るか、「3n/2」と「/2」の順番、回数などが微妙に異なって来る。コラッツ操作5~6回で、「3n/2」あるいは「/2」の処理は7~8回程度とみてよいので、「第3桁の奇数の効果が累積して第2桁の偶奇に影響を与えルートが変わってしまうまで、プラス1回分」を15~20回程度ということは、コラッツ操作は90回程度と想定される。
例えば、2桁の整数を乗り合いバス、第3桁の整数を乗客だと考えてみよう。乗客は下2桁が自分と同じバスに乗って、途中で第2桁の偶奇が異なってしまったら、次のバス停まで乗って(偶奇が異なってしまった後の最後のプラス1)、そこでバスを降りて、また下2桁が同じバスに乗り換えると考えることにすればどうだろうか。これを何回か繰り返すことで3桁の整数も1に収束することになる。こう考えると、2桁の整数が全て1に収束することが分かれば、3桁の整数も1に収束することが分かる。そして、既に説明したように2桁の整数は最悪でも46回のコラッツ操作で1に収束することが分かっている。4桁の整数についても、末尾2桁が同じ2桁の整数を乗り合いバスに見立てて乗り込めばよい。そして、3桁の整数にまで収束することを証明すれば、その3桁の整数は全て1に収束することが証明済みであるので、4桁の整数も1に収束することが証明できたことになるこのようにして5桁、6桁、7桁の整数についても順次1に収束することを証明することが出来る。従って、たとえどんなに大きな整数から始めたとしても、それが有限の整数である限り、1に収束することが証明できる。
以下証明する)
任意の整数は、16を基数として、an16n+an-116n-1+…+a116+a0と表すことが出来る(an,an-1, …a1,a0は0から15までの整数とする)。
ただし、偶数の場合は、2で割ることで、コラッツ操作の出発点となった整数の半分以下になる。コラッツ操作の出発点となる整数を小さい順に選択して1に収束することを証明して行けば、出発点となった整数よりも小さい整数になるということは、その整数は既に証明済みの整数ということになるからである。したがって、ここから奇数に絞って証明済みの整数にまで収縮することを証明する。
全ての正の奇数は、16p+1, 16p+3, 16p+5, 16p+7, 16p+9, 16p+11, 16p+15と表現して、これをタイプと考えることとする。つまり、全ての数をタイプ1、タイプ3、タイプ5、タイプ7、タイプ9、タイプ11、タイプ13、タイプ15に分類し、これらについてコラッツ操作を施してみよう。
コラッツ操作を施した場合のタイプ毎の動き
この節では、16p+nを簡略化して(p, n) あるいは、<p, n>と表記することとする。ここでは、コラッツ操作を行う際の「2で割る」処理を「→」で表現している。2で割る処理が複数回続く時も、単に「→」1個で表現している場合があるので注意してほしい。
ここでは、コラッツ操作の処理途中で、最小桁が偶数の場合は、操作の途中という意味で<p, n>と表現し、最小桁が奇数となり、1回のコラッツ操作が終了した時点で(p, n)という表現を用いている。
● タイプ1
3(p, 1)+1 = <3p, 4>
pが偶数なら、<3p, 4> → <q, 2>
qが偶数なら、<q, 2> → (r, 1)
qが奇数なら、<q, 2> → <q-1, 18> → (r, 9)
pが奇数なら、<3p, 4> → <3p-1, 20> → <q, 10>
qが偶数なら、<q, 10> → (r, 5)
qが奇数なら、<q, 10> → <q-1, 26> → (r, 13)
● タイプ3
3(p, 3) + 1 = <3p, 10>
pが偶数なら、<3p, 10> → (q, 5)
pが奇数なら、<3p, 10> → <3p-1, 26> = (q, 13)
● タイプ5
3(p, 5) + 1 = <3p, 16> = <3p+1, 0> = 16(3p+1) → 3p+1
*<3p+1, 0> はタイプ別で言えば、タイプ0である。操作の途中で最小桁が0になると、<3p+1, 0> = 16(3p+1)+0 = 16(3p+1) → 8(3p+1) → 4(3p+1) → 2(3p+1) → (3p+1)となり、桁の数字が全体として、1桁小さい方にずれることになるり、倍率的には<p, 5>が、<0, 3p+1>となっているので、3/16である。ただし、(3p+1)に因数2が含まれている場合もあり、更に倍率が小さくなる可能性もある。
● タイプ7
3(p, 7) + 1 = <3p, 22>
pが偶数のとき、<3p, 22> → (q, 11)
pが奇数のとき、<3p, 22> = <3p+1, 6> → (q, 3)
● タイプ9
3(p, 9) + 1 = <3p, 28>
pが偶数のとき、<3p, 28> → <q, 14>
qが偶数のとき、<q, 14> → (r, 7)
qが奇数のとき、<q, 14> = <q-1, 30> → <r, 15>
pが奇数のとき、<3p, 28> = <3p+1, 12> → <q, 6>
qが偶数のとき、<q, 6> → (r, 3)
qが奇数のとき、<q, 6> = <q-1, 22> → (r, 11)
● タイプ11
3(p, 11) + 1 = <3p, 34>
pが偶数のとき、<3p, 34> = <3p+2, 2> → (q, 1)
pが奇数のとき、<3p, 34> = <3p+1, 18> → (q, 9)
● タイプ13
3(p, 13) + 1 = <3p, 40>
pが偶数のとき、<3p, 40> = <3p+2, 8> → <q, 4>
qが偶数のとき、<q, 4> → <r, 2>
rが偶数のとき、<r, 2> → (s, 1)
rが奇数のとき、<r, 2> = <r-1, 18> → (s, 9)
qが奇数のとき、<q, 4> = <q-1, 20> → <r, 10>
rが偶数のとき、<r, 10> → (s, 5)
rが奇数のとき、<r, 10> = <r-1, 26> → (s, 13)
pが奇数のとき、<3p, 40> = <3p+1, 24> → <q, 12>
qが偶数のとき、<q, 12> → <r, 6>
rが偶数のとき、<r, 6> → (s, 3)
rが奇数のとき、<r, 6> = <r-1, 22> → (s, 11)
qが奇数のとき、<q, 12> = <q-1, 28> → <r, 14>
rが偶数のとき、<r, 14> → (s, 7)
rが奇数のとき、<r, 14> = <r-1, 30> → (s, 15)
● タイプ15
3(p, 15) + 1 = <3p, 46>
pが偶数のとき、<3p, 46> = <3p+2, 14> → <q, 7>
pが奇数のとき、<3p, 46> = <3p+1, 30> → <q, 15>
以上の考察で、タイプ7、タイプ11、タイプ15については、コラッツ操作を1回施すことで3/2倍となり、第2桁の係数が16を超える場合があるが、このことについては別段の考慮はしていない。もし、第2桁の係数が16を超える場合は、第3桁への桁上がりを考えて<<a2+1, a1>, a0>のような記法を導入すべきかもしれないが、このことについては後で言及することとする。現時点では、タイプの遷移について思考を集中するために、第3桁への桁上がりは、無視している。なぜなら、次に示すタイプ遷移図では、最小桁と、下から2番目の桁の数が決定的に重要だからである。
タイプ遷移図
以上の考察を元にしてタイプ遷移図を描くと次のようになる。

タイプ型と、第2桁の偶数・奇数、3桁以上の整数への拡張
タイプ遷移を考えた場合に、タイプ型と第2桁の偶数・奇数が決定的に重要な働きをすることが分かった。ここまでは、2桁の整数について論じたが、議論を3桁以上の整数にまで拡張したい。
下から2番目の桁の数は「2で割る」という処理をする際の微調整の結果を反映している。最小桁が偶数で、第2桁が奇数の場合の処理については既に説明しているので、ここでは最小桁が偶数で、下から3番目の桁(第3桁)が奇数の場合について考えよう。ここで考えるのは、最小桁が偶数で、第2桁も偶数の場合である。第2桁は、最初から偶数なのか、微調整の結果、偶数になったのかはここでは問わないこととする。第3桁が奇数の場合には、第3桁を「-1」して、第2桁を「+16」するか、第3桁を「+1」して、第2桁を「-16」するかのいずれかである。「2で割る」処理が1回のタイプ3、タイプ7、タイプ11、タイプ15の場合は、「2で割る」処理によって、「+8」あるいは、「-8」という結果が残る。つまり、2桁の整数の処理で第2桁が「m」だったとすると、「m+8」あるいは「m-8」となる。「m」の偶奇と、「m+8」あるいは「m-8」の偶奇は全く同じである。ただし、「m」の偶奇については既に2桁の整数の処理の際に解決しているものとして、ここでは問題としない。ここで、議論しているのは、第3桁からの桁下がり、あるいは第3桁への桁上がりであり、その際の「+8」と「-8」である。
「2で割る」処理が2回必要なタイプ1とタイプ9は、最初の「2で割る」処理の際の状況は「2で割る」処理が1回の時と全く同じである。2回目の「2で割る」処理の際に桁上がりがあれば、1回目の処理で桁上がりしていれば、「n-8」で、ここに桁上がりの「-16」を加えて、それを「2で割る」ので、結果は、「n-4-8」となる。同じように1回目が桁上がりか、桁下がりか、2回目が桁上がりか、桁下がりかで合わせて「n-4+8」、「n+4-8」、「n+4-8」の4通りの結果が得られる。nの偶数・奇数は、「n-4-8」、「n-4+8」、「n+4-8」、「n+4-8」と同じであることが分かる。
「2で割る」処理が3回必要なタイプ13では、第2桁は2桁の整数の場合がsだとすると、「s-2-4-8」、「s-2-4+8」、「s-2+4-8」、「s-2+4+8」、「s+2-4-8」、「s+2-4+8」、「s+2+4-8」、「s+2+4+8」の8通りとなり、第2桁の偶数・奇数は「s」の場合と同じである。もちろん、タイプ遷移表を見ると、タイプ13は<s, 1>, <s, 9>, <s, 5>, <s, 13>, <s, 3>, <s, 11>, <s, 7>, <s, 15>に分岐し、それぞれの場合について、「s」の値は異なっているが、偶奇については変わりはない。つまり、「s」の偶奇に従って、「s-2-4-8」、「s-2-4+8」、「s-2+4-8」、「s-2+4+8」、「s+2-4-8」、「s+2-4+8」、「s+2+4-8」、「s+2+4+8」の偶奇が決まることになる。
以上の考察の結果、3桁以上の整数についても、前の節で説明したタイプ遷移図がそのまま適用できるということになる。
タイプ別の縮小と拡大の概略
タイプ遷移図を見ると、タイプ別の縮小と拡大の概略を知ることが出来る。
上の図では、タイプ遷移の途中の最小桁が偶数の場合については、<>を、1回のタイプ遷移が完了して、最小桁が奇数になった状態を()を使って表現している。□で囲まれた()型のタイプから()型のタイプへの遷移では、コラッツ操作の対象の奇数nに対して、(3n+1)の処理が施され、この結果は必然的に偶数となるため更に2で割る処理が加えられている。従って、基本的に1回のタイプ遷移で対象となった整数は1.5倍されていることになる。ただし、タイプ遷移の間に<>タイプへの処理が介在している場合、すなわちタイプ1、タイプ9、タイプ13では、「2で割る処理」が更に追加されている。タイプ1と、タイプ9では1回、合計で2回、タイプ13では、追加の処理が2回で、合計3回となる。従って、タイプ1とタイプ9では、(3/2)/2=3/4、タイプ9では、((3/2)/2)/2=3/8倍となっている。更にタイプ3はタイプ5、あるいはタイプ13に遷移する。タイプ3から、タイプ5への遷移では3/2となるが、タイプ5内の処理では最低でも3/16倍されている。また、タイプ13への遷移でも、3/2となるが、タイプ13から次のタイプへの遷移で、3/8されている。このように考えると、タイプ1、タイプ3、タイプ5、タイプ9、タイプ13では縮小することが分かる。
拡大するのはタイプ7、タイプ11、タイプ15である。この3つのタイプは(3n+1)/2の処理だけなので、基本的には3/2で拡張する。
分岐の仕方を見ると、いくつかの類似点がみられる。例えば、(r, 11)-(s, 1)-(u,1) | (u, 9) | (u, 5) | (u, 13)、(r, 11)-(s, 9)-(u,7) | (u, 15) | (u, 3) | (u, 111)と、(s, 13)-<t, 4>-(v, 1) | (v, 9) | (v, 5) | (v, 13) 、(s, 13)-<t, 12>-(v,3) | (v, 11) | (v, 7) | (v, 15)の分岐が全く同じことが分かる。
また、(r, 3)-(s, 5) | (s, 13)の分岐と、(s, 1)の先の<t, 10>-(u, 5) | (u,13)も同じ、(s, 13)の先の<u, 10>-(v, 5) | (v, 13)も同じである。一見すると、(r, 3)の「3」と<t, 10>, <u, 10>の「10」がマッチしないが、(r, 3)の方は(3n+1)の処理をするので、3×3+1=10となり、マッチする。
(q, 7)-(r, 11) | (r, 3)と、(s, 13)の先の分岐の<u, 6>-(v, 3) | (v, 11)も同じ、(s, 9)の先の分岐の<t, 6>-(u, 3) | (u, 11)も同じである。これについては、(q, 7)の場合は3×7+1=22で、22=1×16+6で、<u, 6>,<t, 6>の「6」とマッチする。
(p, 15)-(q, 7) | (q, 15)も、(s, 9)の先の(t, 14)-(u, 7) | (u, 15)、(s, 13)の先の(u, 14)-(v, 7) | (v, 15)と全く同じである。(p, 15)については、3×15+1=46, 46=2×16+14となり、共に「14」となる。
違いは、タイプからタイプへの遷移では(3n+1)/2の処理が入るが、タイプ内での処理では、「割る2」だけだということである。
偶数・奇数についてもほとんど同じだが、(s, 13)の内部処理で、1番目、3番目は同じで、一番目が奇数の分岐についてのみ2番目は逆になっている。
更にタイプ遷移図を眺めてみると、同じタイプが連続する可能性があることである。それは、タイプ1とタイプ13とタイプ15である。タイプ1から、タイプ1への遷移は4つの選択肢のうちの1つであり、しかもタイプの連続の間に3/4に縮小している。タイプ13からタイプ13への遷移は8つの選択肢のうちの1つであり、しかもタイプの連続の間に、3/8に縮小している。従って、タイプ1とタイプ13の連続については、問題とするには当たらない。問題はタイプ15の連続である。タイプ15は連続する間に1.5倍されるので、例えばタイプ15の連続が100回続くと(100桁の整数の各桁の数字が全て15の場合)、単純にはその間に(1.5)100倍されることになるのだが、事はそれほど単純ではなさそうだ。
15タイプからの遷移
タイプ15は、タイプ7かタイプ15の連続かの1回の選択である。従って、単純に1.5倍される。タイプ15をn回繰り返すと、単純計算では(1.5)n倍で拡大していくことになる。
ここでは、タイプ15の連続から抜け出すことが出来るのかについて議論する。タイプ遷移図を見ると分かる通り、<偶数、15>タイプは次の遷移でタイプ7へ遷移するが、<奇数、15>タイプはタイプ15を繰り返す。
ここからは、an16n+an-116n-1+…+a116+a0を<<<<an,an-1>, an-2>, …, a1>, a0>と表記して計算を行うこととする。ここまでは( )と< >を分けて説明の便宜を図っていたが、これ以降は表現を簡略化する目的で< >と表現することとする。
タイプ15は次のように遷移する。

タイプ15でも、<<…, 1>,15>, <<…,5>, 15>, <<…,9>, 15>, <<…,13>, 15>タイプの整数は1回のコラッツ操作で次に、<偶数,15>タイプに遷移しているので、次の操作でタイプ7へと遷移するはずである。
問題は<<…, 3>, 15>, <<…, 7>, 15>, <<…, 11>, 15>, <<…, 15>, 15>タイプである。
このうち、<<…, 3>, 15>と、<<…, 11>, 15>の2つのタイプは問題ない。なぜなら、<<…, 3>, 15>タイプは、次の操作で<<…, 5>, 15>あるいは<<…, 13>, 15>となるので、次の操作で<偶数, 15>タイプとなり、更にその次の操作で、タイプ7へと遷移する。<<…, 11>, 15>も同様に、次の操作で<<…, 1>, 15>あるいは<<…, 9>, 15>タイプへの遷移し、更に次の操作で<偶数, 15>となり、その次にタイプ7へと遷移する。
<<…, 7>, 15>タイプは次の操作で、<<…, 3>, 15>あるいは<<…,11>, 15>タイプとなる。そして、上で説明したように、<<…, 3>, 15>は、<<…, 5>, 15>あるいは<<…, 13>, 15>となり、次の操作で<偶数, 15>となり、更に次の操作でタイプ7へと遷移する。<<…, 11>, 15>についても同じように、<<…, 1>, 15>あるいは<<…, 9>, 15>となり、次に<偶数, 15>タイプとなり、タイプ7への遷移することが出来る。
問題は<<…, 15>, 15>タイプである。このタイプは<<…, 7>, 15>あるいは、<<…, 15>, 15>タイプへ遷移する。<<…, 7>, 15>タイプは既に説明したようにやがてタイプ7へと遷移することが分かっている。
ところが、<<…, 15>, 15>のように15が連続してしまうと、タイプ15から抜け出すことが出来ない可能性がある。次にこの点を確認しよう。
15が最小桁から連続する場合についての考察
15が最小桁から連続する場合は、3n+1の処理をする際の最小桁の45+1=46と、途中桁の46を桁上がりさせる時の上の桁への「+1」が全く同じ動作をしている(45+1=46となり、これが更に上の桁への桁上がりを誘導する)。このため、桁上がりさせた後に元の桁が46-16=30となり、これに対して2で割る処理が加わるため、15となってしまう。
タイプ15の連続からの脱却
各桁の係数が15である場合は一見すると、永遠に1.5倍が続いてしまうように思えるが、そうではない。コラッツ予想では有限の整数を対象としているので、先頭桁というものが必ず存在している。そして、先頭桁の1つ前は0である。つまり、<<<<<<0, 15>, 15>, …>, 15>となっているはずである。これは、<偶数, 15>ということになるので、次のコラッツ操作で、タイプ7へと遷移する。
15タイプから如何にして抜けるかについては、次に図解する。<<<0, 15>, 15>, …>, 15>から、15の並びが2つ減るまでに4回のコラッツ操作を要していることが分かる。つまり、<<<0, 15>, 15>, …>, 15>は、<<<偶数, 15>, 15>, …>, 15>なので、1回の操作で1つ減り、<<<1, 7>, 15>, …>, 15>になり、ここから<<<…, 偶数>, 15>, …>, 15>に遷移するまでに3回の操作が必要で、合計4回で2つ15の連続列の長さが減ることになる。従って、前に挙げた例の100桁の整数で全ての桁が15の整数の場合は、15の連続から抜け出すまでに、おおよそ(1.5)200倍に拡張することになる。

以上、最小桁から15が続いている場合について検討した。
途中にある15についての考察
最小桁から15が連続している場合については厄介であるが、途中で15が出現することもある。これについてはどのように考えたらいいのだろうか。例えば<<<<…, (0から14のいずれか)>, 15>, 15>, (0から14のいずれか)>、…>のような場合である。最小桁が、1、9、13、5のいずれかの場合は、後で2で割る処理が、2回(1と9の場合)、3回(13の場合)、4回(5の場合)あるので、途中にある15は直ぐに他の数に変化してしまう。7、11、15の場合も15の命は短い。そもそも、最小桁から15が続く場合にどうして15が連続してしまうかというと、(3n+1)/2の処理の際の「+1」の処理と同じ作用を、15の桁上がりが果たしてしまうからである。15×3+1=46で、16を桁上がりさせると、最小桁は30となり、その上の桁が45+1=46となり、この桁もさらに上の桁への桁上がりで、30となり、上の桁は45+1=46となって、また桁上がりが発生してしまう。そして、最終的に2で割る処理をすると、30の並びが、全部15へと変わってしまうためである。しかし、途中にある15の場合は、下の桁からの桁上がりがあるとは限らないので、事情が異なる。途中にある15は3倍され、45になるが、下の桁からの桁上がりが期待できないこともある。その場合は、2で割る処理の際に桁間の調整で、46/2=23なったり、23=16+7で7になることもあるし、44/2=22となり、22=16+6で6になることもある。あるいはたまたま下からの桁上がりがあって、その結果46になり、更に自分自身が桁上がりして、30になり、2で割る処理で15になることもある。しかし、これもこの時限りのことである。なぜなら、これは2で割る処理が2回の、タイプ7、タイプ11、タイプ15に特有の事情であり、タイプ7は次にタイプ11か、タイプ3となり、タイプ11は次にタイプ1かタイプ9になる。また、タイプ3は次にタイプ5あるいはタイプ13となるので、2で割る処理が1回だけという場合は、ずっと続くわけではないからである。もちろん、タイプ15が最小桁にある場合は例外であるが、これが永遠と続くわけではないことは既に説明したところである。また、今までなかったところに突然15が出現する場合もあるがそれもいつの間にか消滅してしまう。
従って、最小桁から連続している15以外は、途中桁にある15は2、3回のコラッツ操作の間にすぐに消滅してしまうことが分かる。
他のタイプから15タイプへの遷移
15タイプ以外から、15タイプに遷移することがある。タイプ遷移図を見ると、<偶数, 9>-<t, 14>で、tが奇数の時<u, 15>に遷移する。更に、<奇数, 13>-<t, 12>で、tが奇数の時<u, 14>なり、更にuが奇数の時、<v, 15>に遷移している。
<偶数, 9>-<t, 14>(t:奇数)-<u, 15>の遷移では、<0, 9>, <2, 9>, <4, 9>, <6, 9>, <8, 9>, <10, 9>,<12, 9>, <14, 9>のうち、第2桁に因数2が2つ以上入っている<0, 9>, <4, 9>, <8, 9>, <12, 9>はタイプ7へ遷移することが分かる。これに対して、第2桁に因数2が1つしか入っていない<2, 9>, <6, 9>, <10, 9>, <14, 9>はタイプ15を維持する。
3<2, 9> + 1 = <6, 28> → <3, 14> = <2, 30> → <1, 15>
3<6, 9> + 1 = <18, 28> → <9, 14> = <8, 30> → <4, 15>
3<10, 9> + 1 = <30, 28> → <15, 14> = <14, 30> → <7, 15>
3<14, 9> + 1 = <42, 28> → <21, 14> = <20, 30> → <10, 15>
以上より、<2, 9>と<10, 9> だけが、<奇数, 15>となり、15タイプを繰り返すことになる。このうち、<1, 15>はタイプ15の遷移表を確認すると、次のコラッツ操作で<偶数, 15>となり、15タイプから脱出することが出来る。これに対して、<<…, 7>, 15>-<<…, 11>, 15> | <<…, 3>, 15>となり、<<…, 11>, 15>-<…, 1>, 15> | <<…, 9>, 15>, <<…, 3>, 15>-<<…, 5>, 15> | <<…, 13>, 15>となり、<偶数, 15>になるまでに3回のコラッツ操作を必要とし、15タイプを抜けるまでにさらに1回で計4回の操作を必要とする。
<奇数, 13>-<t, 12>(t:奇数)-<u, 14>(u:奇数)の遷移では、<1, 13>, <3, 13>, <5, 13>, <7, 13>, <9, 13>, <11, 13>, <13, 13>, <15,13>のうち<奇数、15>となるのは、<15, 13>のみである。
3<1, 13> + 1 = <3, 40> = <4, 24> → <1, 6> = <0, 22> → <0, 11>
3<3, 13> + 1 = <9, 40> = <10, 24> → <5, 12> = <4, 28> → <1, 7>
3<5, 13> + 1 = <15, 40> = <16, 24> → <2, 3>
3<7, 13> + 1 = <21, 40> = <22, 24> → <11, 12> = <10, 28> → <5, 14> = <4, 30> → <2, 15>
3<9, 13> + 1 = <27, 40> = <28, 24> → <7, 6> = <6, 22> → <3, 11>
3<11, 13> + 1 = <33, 40> = <34, 24> → <17, 12> = <16, 28> → <4, 7>
3<13, 13> + 1 = <39, 40> = <40, 24> → <5, 3>
3<15, 13> + 1 = <45, 40> = <46, 24> → <23, 12> = <22, 28> → <11, 14> = <10, 30> → <5, 15>
<5, 15>はタイプ15の遷移表を確認すると、次のコラッツ操作で<偶数, 15>となり、更に次の操作でタイプ7に遷移することが分かる。
最小桁の数(タイプ)の変化による縮小と拡大の実際
コラッツ操作を施す度に最下位桁の数値(タイプ)が変化していく。最下位桁の数によってタイプ遷移図上のコースが変化していく。ここでは、タイプ遷移図上の分岐点(図では□で囲まれているタイプ)を通るごとに出発点の整数に対してどのように増減しているかを検証し、出発点となった整数に対する倍率を示す。最下位桁の数をnで表し、タイプnからタイプmへの変化を(n)(m)と表現する。
ただし、この節と、次の「(7)(11)、(11)(1)、(11)(9)からの遷移について」は如何にこの計算が困難であるかの例示であり、証明には結びついていない。証明だけを読みたいという場合は、この2節を飛ばして、「2桁の数について、コラッツ予想が成り立つことの証明」に移っていただきたい#two-digits。
倍率が1以下になった場合は、そこで出発点の整数よりも小さい整数となったものとして、検証を止めている。小さい整数から順にコラッツ予想が成り立つことを証明していると仮定すると、証明済みの整数となっているからである。
以降の計算で、倍率が1以下になったものは青で下線を引き、枝葉の分岐で1以下になっている場合は親ノードは青で塗りつぶしている。
(1)(1): 3/4
(1)(5): 3/4
(1)(9): 3/4
(1)(13): 3/4
(3)(5): 3/2 *ただし、(5)の中の処理で3/16となるので、合わせて9/32
(3)(13)(1): 3/2 x 3/8 = 9/16
(3)(13)(3): 9/16
(3)(13)(5): 9/16
(3)(13)(7): 9/16
(3)(13)(9): 9/16
(3)(13)(11): 9/16
(3)(13)(13): 9/16
(3)(13)(15): 9/16
(5): 3/16
(7)(3)(5): 3/2 x 3/2 x (3/16) = 27/64 *3/16は(5)の中での処理
(7)(3)(13)(1): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(3): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(5): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(7): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(9): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(11): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(13): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(3)(13)(15): 3/2 x 3/2 x 3/8 = 27/32
(7)(11): 3/2
この時点で1以上なので赤で塗りつぶして、後で検討を加える。
(9)(3): 3/4
(9)(7): 3/4
(9)(11): 3/4
(9)(15): 3/4
(11)(1): 3/2
(11)(9): 3/2
(11)(1)、(11)(9)は赤で塗りつぶして、後で検討する。
(13)(1): 3/8
(13)(3): 3/8
(13)(5): 3/8
(13)(7): 3/8
(13)(9): 3/8
(13)(11): 3/8
(13)(13): 3/8
(13)(15): 3/8
(15)(7): 3/2
(15)(15): 3/2
15についてはやがてタイプ7へと移行するので、ここでは論じない。
(7)(11), (11)(1), (11)(9)からの遷移について
縮小しないのは、(7)(11)と、(11)(1)、(11)(9)である。(7)(11)は、(7)(11)(1)あるいは、(7)(11)(9)と遷移し、(11)(1)は、(11)(1)(1), (11)(1)(9), (11)(1)(5), (11)(1)(13)へと遷移し、(11)(9)は、(11)(9)(7), (11)(9)(15), (11)(9)(3), (11)(9)(11)へと遷移する。
●(7)(11)(1)
>(7)(11)(1)(1): 3/2 x 3/2 x 3/4 = 27/16
>>(7)(11)(1)(1)(1): 27/16 x 3/4 = 81/64
>>>(7)(11)(1)(1)(1)(1): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>>(7)(11)(1)(1)(1)(5): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>>(7)(11)(1)(1)(1)(9): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>>(7)(11)(1)(1)(1)(13): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>(7)(11)(1)(1)(9): 27/16 x 3/4 = 81/64
>>>(7)(11)(1)(1)(9)(7): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>>(7)(11)(1)(1)(9)(15): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>>(7)(11)(1)(1)(9)(3): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>>(7)(11)(1)(1)(9)(11): 81/64 x 3/4 = 243/256
>>(7)(11)(1)(1)(5): 27/16 x 3/4 x (3/16) = 81/64 x (3/16) = 243/1,024
>>(7)(11)(1)(1)(13): 27/16 x 3/4 x (3/8) = 81/64 x (3/8) = 243/512
(7)(11)(1)(1)と分岐する時は倍率は出発点と比較して1以下になることが分かった。
>(7)(11)(1)(9): 3/2 x 3/2 x 3/4
>>(7)(11)(1)(9)(7): 3/2 x 3/2 x 3/4 x 3/4 = 81/64
>>(7)(11)(1)(9)(15): 3/2 x 3/2 x 3/4 x 3/4 = 81/64
>>(7)(11)(1)(9)(3): 3/2 x 3/2 x 3/4 x 3/4 = 81/64
>>>(7)(11)(1)(9)(3)(5): 81/64 x 3/2 x (3/16) = 729/2,048
>>>(7)(11)(1)(9)(3)(13): 81/64 x 3/2 x (3/8) = 729/1,028
>>(7)(11)(1)(9)(11): 3/2 x 3/2 x 3/4 x 3/4 = 81/64
>(7)(11)(1)(5): 3/2 x 3/2 x 3/4 x (3/16) = 27/16 x (3/16) = 81/256
>(7)(11)(1)(13): 3/2 x 3/2 x 3/4 x (3/8) = 27/16 x (3/8) = 81/128
(7)(11)(1)と辿った場合は、(7)(11)(1)(9)(7)と(7)(11)(1)(9)(15)、(7)(11)(1)(9)(11)のみが倍率1以上で、それ以外は全て倍率1以下になっていることが分かる。
●(7)(11)(9)
>(7)(11)(9)(7): 3/2 x 3/2 x 3/4 = 27/16
>(7)(11)(9)(15): 3/2 x 3/2 x 3/4 = 27/16
>(7)(11)(9)(3): 3/2 x 3/2 x 3/4 = 27/16
>>(7)(11)(9)(3)(5): 27/16 x 3/2 x (3/16) = 243/512
>>(7)(11)(9)(3)(13): 27/16 x 3/2 x (3/8) = 243/256
>(7)(11)(9)(11): 3/2 x 3/2 x 3/4 = 27/16
●(11)(1)
>(11)(1)(1): 3/2 x 3/4 = 9/8
>>(11)(1)(1)(1): 9/8 x 3/4 = 27/32
>>(11)(1)(1)(9): 9/8 x 3/4 = 27/32
>>(11)(1)(1)(5): 9/8 x 3/4 = 27/32
>>(11)(1)(1)(13): 9/8 x 3/4 = 27/32
>(11)(1)(9): 3/2 x 3/4 = 9/8
>>(11)(1)(9)(3): 9/8 x 3/4 = 27/32
>>(11)(1)(9)(7): 9/8 x 3/4 = 27/32
>>(11)(1)(9)(11): 9/8 x 3/4 = 27/32
>>(11)(1)(9)(15): 9/8 x 3/4 = 27/32
>(11)(1)(5): 3/2 x 3/4 x (3/16) = 27/128
>(11)(1)(13) = 3/2 x 3/4 x (3/8) = 27/64
(11)(1)からの分岐については全て倍率1以下になることが分かった。
●(11)(9): 3/2
>(11)(9)(7): 3/2 x 3/4 = 9/8
>(11)(9)(15): 3/2 x 3/4 = 9/8
>(11)(9)(3): 3/2 x 3/4 = 9/8
>>(11)(9)(3)(5): 9/8 x 3/2 x (3/16) = 81/256
>>(11)(9)(3)(13): 9/8 x 3/2 x (3/8) = 81/128
>(11)(9)(11): 3/2 x 3/4 = 9/8
以上の計算結果より、倍率が1以上になってしまう分岐は(7)(11)(1)(9)(7): 81/64、(7)(11)(1)(9)(15): 81/64、(7)(11)(1)(9)(11): 81/64と、(7)(11)(9)(7): 27/16、(7)(11)(9)(15): 27/16、(7)(11)(9)(11): 27/16、(11)(9)(7): 9/8、(11)(9)(15): 9/8、(11)(9)(11): 9/8の9通りであることが分った。
(11)を起点とする場合は、(11)(9)(7): 9/8、(11)(9)(15): 9/8、(11)(9)(11):9/8のみで、(11)(1)…の遷移は含まれないが、(7)を経由している遷移の場合は、(7)(11)(1)(9)(7): 81/64、(7)(11)(1)(9)(15): 81/64、(7)(11)(1)(9)(11): 81/64のように、…(11)(1)…の場合も含まれている。これは、(7)から遷移した場合の3/2倍が、(11)(1)の遷移の場合の3/4倍を打ち消してしまうためである。
今まで無視していた(15)タイプの遷移についても考慮すると、(15)から(7)への遷移を追加すればよい(ただし、ここでは(15)から(15)へのループについては除いている)。そうすると、候補として(15)(7)(11)(9)(7)、(15)(7)(11)(9)(15)、(15)(7)(11)(9)(7)と、(11)から(1)を経由して(9)に遷移する(15)(7)(11)(1)(9)(7)、(15)(7)(11)(1)(9)(15)、(15)(7)(11)(1)(9)(7)が候補に挙がって来る。更に、(15)(7)の遷移で3/2倍されるので、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(7)、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(15)、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(7)も候補に挙がって来る。更に(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(7)、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(15)、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(7)も候補として考慮しなくてはならない。何故なら、(15)(7)(11)(1)で(3/2)3=(27/8)倍されるので、(1)(1)(9)遷移列で(3/4)2=(9/16)倍だと、(15)(7)(11)(1)の効果を打ち消すには力が足りないと予想されるからである(27/8 x 9/16 = 243/128)。(1)(1)(1)(9)の遷移列では(3/4)3=27/64倍されるので、27/8 x 27/64 = 729/512となり、いくらか緩和される。
こう考えると、拡張列は次の通りになる。
(7)(11)(1)(9)(7): 81/64、(7)(11)(1)(9)(15): 81/64、(7)(11)(1)(9)(11): 81/64
(7)(11)(9)(7): 27/16、(7)(11)(9)(15): 27/16、(7)(11)(9)(11): 27/16
(11)(9)(7): 9/8、(11)(9)(15): 9/8、(11)(9)(11): 9/8
さらに列の先頭に(15)を配した列が加わる。
(15)(7)(11)(1)(9)(7): 243/128、(15)(7)(11)(1)(9)(15): 243/128、(15)(7)(11)(1)(9)(11): 243/128、(15)(7)(11)(9)(7): 81/32、(15)(7)(11)(9)(15): 81/32、(15)(7)(11)(9)(11): 81/32
もちろん、タイプ遷移図を見れば、(11)(9)(7): 9/8、(11)(9)(15): 9/8、(11)(9)(11): 9/8 の列の先頭に(15)を加えることはできないことが分かる。
これらに加えて、(15)を追加したことによる悪影響を緩和するために(11)(1)の後に、(1)、(1)(1)が加わることになる。こうなると、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(7): 729/512 、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(15): 729/512、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(11): 729/512 、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(7): 2,187/2,048、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(15): 2,187/2,048 、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(11): 2,187/2,048 となる。(11)の後に-(1)(1)(1)(1)が追加されたときは、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(1)(9)(7): 6,561/8,192、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(1)(9)(15): 6,561/8,192 、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(1)(9)(11): 6,561/8,192 となり1以下に収束する。
先頭に15を追加したためにさらなる問題も出て来る。それは、(15)(7)(3)(13)(11), (15)(7)(3)(13)(7), (15)(7)(3)(13)(15)という列である。(7)(3)(13)(11), (7)(3)(13)(7), (7)(3)(13)(15)であれば、(13)からの遷移で、3/8倍されるため(7)(3)(13)-(1) | (9) | (5) | (13) | (3) | (11) | (7) | (15)の列は27/32倍となって1以下に収束してしまうが、先頭に(15)が追加されると、(15)からの遷移の3/2倍によって3/2 x 27/32 =81/64となって拡張列に転じてしまうためである。ということは、この(15)が列の途中に出現する時にも同様のことが起こることになる。途中に(15)が出現する時は、n x 27/32 > 1で、その(15)までの時点で、倍率が32/27以上の時は、…(15)-(7)(3)(13)-(1) | (9) | (5) | (13) | (3) | (11) | (7) | (15)は3/8倍にも関わらず1以下には収束しないことになる。
ここからの計算では、大変大きな数が出現するので計算機を使っても計算できない。そこで、次のように計算結果を簡略化した。分子、分母のいずれか大きな数字の桁の数が6桁を越えたら、6桁内に収まるように分子分母の桁をシフトして、小数点以下の数字を四捨五入して、計算結果としている。
なお、今後の計算で、(5)では、(5)タイプ内の処理で3/16になる場合は、(3/16)と書いて計算している。また、(13)に遷移した時は、(13)からの遷移の結果、倍率が1以下になる場合は(3/8)と書いて計算予測を先取りする形で、記述を簡略化している箇所がある。ただし、(13)からの遷移ではまだ倍率が1以下にならない場合は、その後の計算を考慮して、(13)(1), (13)(3), (13)(5), …, (13)(15)のように具体的に計算を列挙している。
以上に列挙した21通り(それプラス途中で15が出現する場合)について、最後まで計算をし続ければよいのだが、現時点では無理である。場合分けの数が天文学的に多くなり、計算機の能力を優に超えてしまう。おそらく、計算機がどれだけ発達しても計算機の能力を超えてしまうはずである。それは、15の桁が最小桁から何十兆個、何百京個、何千垓個も並ぶ数はいくらでも簡単にできてしまうからである。
いずれに場合も、ほとんど同じ分岐であることが分かる。最初の拡大列の倍率が持ち越されることと、最後の遷移が(7)、(15)、(11)のいずれかで違っているだけでほとんど同じことである。何故なら、(7)で終わっているタイプは次に(7)(3)と進むか、(7)(11)と進むかである。(7)(3)と進んだ時は次は、(7)(3)(5)あるいは、(7)(3)(13)と進む。(7)(3)(5)と分岐した場合は、殆どの場合、ここで1以下の倍率に収束してしまう。(7)(3)(13)と進む場合も、3/8倍されるので、ここで収束してしまうことがほとんどであるが、運悪く収束しきれない場合もある。その場合でも更に、(13)-(1) | (9) | (5) | (13)から先に分岐が進めばやがて1以下に収束する。(13)-(3) | (11) | (7) | (15)と進んだ時は、(3)へと分岐した場合以外は茨に道に足を踏み入れることになる。つまり、この場合にも、(7)、(15)、(11)へと分岐することになる。(7)(11)へと分岐した場合でも、(7)(11)(1)へと分岐すれば、何回かの分岐のうちに1以下に収束する。これに対して、難しいのが、(7)(11)(9)と分岐した場合である。この場合も、更に(7)(11)(9)-(7) | (15) | (11)へと分岐すれば、更に難しい道に足を踏み入れたことになる。いずれにしても、-(7) | (15) | (11)への分岐である。しかし、どのように分岐しても、どんなに分岐が深くなっても、必ず1以下に収束すると予想される。それから、どれだけ深く潜っていくかは最終的には、出発点からの拡大列の持つ値の違いである。最初に(11)から出発したものは戻ってきやすいが、3/2で遷移する(7)、(11)、(15)が重なる(7)(11)、(15)(7)(11)は難しくなるが、ただし(11)の後に(1)が続くと、ここで3/4倍されるので、困難さが緩和される。更に(1)(1)と続けばさらに困難さが緩和されることになる。
最初の拡大列の倍率が大きければ大きいほど、後々の分岐計算では、分岐が深くなるはずである。
具体的な分岐計算については、以下を参照のこと。ただし、以下の分岐計算で、1以下に収束することを証明することはできなかった。既に説明したように、分岐の数が天文学的に増えてしまい、おそらく今後どんなに計算機が発達しても無理であろうと推測できる。以下の計算結果は、如何に分岐計算が難しいかを示すためのものにすぎないことをお断りしておく。
(11)(9)(7): 9/8については、こちら。(11)(9)(15): 9/8については、こちら。(11)(9)(11): 9/8については、こちらを。
(7)(11)(1)(9)(7): 81/64以降の分岐はこちらを。(7)(11)(1)(9)(11): 81/64はこちらを。(7)(11)(9)(7): 27/16以降の分岐についてはこちらを、(7)(11)(9)(11): 27/16以降の分岐についてはこちらを参照のこと。
(15)(7)の列については、こちらを参照のこと。(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(7): 2,187/2,048、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(15): 2,187/2,048 、(15)(7)(11)(1)(1)(1)(9)(11): 2,187/2,048、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(7): 729/512 、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(15): 729/512、(15)(7)(11)(1)(1)(9)(11): 729/512、(15)(7)(11)(1)(9)(7): 243/128、(15)(7)(11)(1)(9)(15): 243/128、(15)(7)(11)(1)(9)(11): 243/128、(15)(7)(11)(9)(7): 81/32、(15)(7)(11)(9)(15): 81/32、(15)(7)(11)(9)(11): 81/32
分岐計算では証明が不可能と分かったので、別の道を探すこととする。
2桁の数について、コラッツ予想が成り立つことの証明
本稿では、小さい整数から順次コラッツ予想が正しいことを証明できていると仮定しているので、ここでは<0, 3>から、<15, 15>までの整数について計算して、<1, 0> → <0, 1>に収束することを示す。証明は、こちらを参照のこと。
<1, 5>を除くと、<0, 3> ~ <15, 15>の全ての奇数は最後に<0, 1>に収束する前に、<0, 5>となり、次の操作で、3<0, 5> + 1 = <0, 16> = <1, 0>となっている。<1, 5>の場合は、3<1, 5> + 1 = <3, 16> = <4, 0> → <1, 0>となる。例外的に<0, 21>は3<0, 21> +1 = 64 → 32 → 16 = <1, 0> → <0, 1>となる。したがって、<0, 3> ~ <15, 15>の全ての整数が<0, 1>に収束する前に一旦<1, 0>になっていることが分かる。この時、最小桁がカットできるので、全体として桁が1つずつ小さい方にずれることになる。
15タイプを抜け出した時にどうなるのか?
<<15, 15>, 15>のように最小桁から、15が並んでいる場合に、最上位桁は、0、つまり偶数と考えることが出来る。そして、15の並びが1つ崩れる時に、その崩れた桁は必ず7になっている。その後、15の連続数はしばらく変わらないが、また1つ15が崩れるとき、その桁は7となるはずである。このように考えると、15の連続が0になった時点では、必ずタイプ7になっている。例えば、<<15, 15>, 15>は15の連続から抜け出した時に、<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>となっている。これは、<<<15, 15>, 15>よりも大きな整数である。しかし、<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>にコラッツ操作を施し続けると<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>よりも、小さな値に収束することが予想される。
それでは、<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>がどのように変化していくか見てみよう。
3<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7> + 1 = <<<<6, 18>, 21>, 3>, 22> = <<<<6, 18>, 21>, 4>, 6> = <<<<6, 18>, 20>, 20>, 6> → <<<<3, 9>, 10>, 10>, 3>
3<<<<3, 9>, 10>, 10>, 3> + 1 = <<<<9, 27>, 30>, 30>, 10> = <<<<9, 28>, 14>, 30>, 10> = <<<<10, 12>, 14>, 30>, 10> → <<<<5, 6>, 7>, 15>, 5>
3<<<<5, 6>, 7>, 15>, 5> + 1 = <<<<15, 18>, 21>, 45>, 16> = <<<<15, 18>, 21>, 46>, 0> = <<<<15, 18>, 22>, 30>, 0> = <<<<16, 2>, 22>, 30>, 0> → <<<<8, 1>, 11>, 15>, 0> = <<<8, 1>, 11>, 15>
ここで、<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>よりも小さな値にまで縮小していることが分かる。
ここで注意すべきことは、下から2桁目の値は上の桁への桁上がりや、2で割るときの調整として桁下がりがあるということである。しかし、いずれの場合も、16が引かれるか足されるかのいずれかであり、2桁の計算結果で下から2桁目が偶数の場合は、第3桁への桁上がり、3桁目からの桁下がりがあった時も偶数で、2桁の計算結果で下から2桁目が奇数の場合は、3桁以上がある時も奇数である。
次に、2桁の<1, 7>の遷移を確認してみよう。
3<1, 7> + 1 = <3, 22> = <4, 6> → <2, 3>
3<2, 3> + 1 = <6, 10> → <3, 5>
3<3, 5> + 1 = <9, 16> = <10, 0> → <5, 0> = 5 x 16 → 5
3<0, 5> + 1 = <0, 16> = <1, 0> → 1
<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>にコラッツ操作を施した時に、第3桁に着目すると、(…7>, 1>, 7>) – (…10>, 10>, 3) – (…7>, 15>, 5>)と遷移し、その後タイプ0となっている。これに対して、<1, 7>はというと、(<1, 7>)-(<2, 3>)-(<3, 5>)と遷移してその後タイプ0となっている。
最下位桁からの15の連続から抜け出した結果の整数にコラッツ操作を施していった場合、下から2番目の偶数奇数が同じで、最下位桁の数が同じというのは、3桁の15の連続から抜け出した結果得られた<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>に対するコラッツ操作に特有のことなのか、それとも一般的なことなのか。
ここで注視すべきなのは、最初のコラッツ操作を施した時、第3桁は「7」で奇数だということである。その後、第3桁が偶数の場合も交じっている。<<<15, 15>, 15>, 15>が15の連続から脱出した時は、<<<<12, 2>, 9>, 14>, 9>, 7>で、第3桁は偶数になっている。
第2桁はコラッツ操作をするたびに「2で割る」処理をするために桁間の値の調整をする。この時、最小桁と、第2桁、第3桁が共に偶数の場合は、第2桁は、2桁の整数と、3桁以上の整数では変わりがない。しかし、第3桁が奇数の場合は、桁の調整のために、第2桁は桁上がりが発生してその結果、第2桁が「-16」され、第3桁が「+1」されるか、逆に第3桁からの桁下がりが発生して、第3桁が「-1」され、その結果第2桁が「+16」されるかのいずれかの状況が発生する。つまり、コラッツ操作を行い「割る2」の処理を行う際に、桁上がり、桁下がりが発生してしまうために、第2桁の数に変化が現れるということだ。この「2で割る」処理の際の桁間の調整が2回行われると、1回目の「+16」、「-16」の効果は「+8」、「-8」となるが、新たな「+16」、「-16」の効果と合算すると「+16+8」、「+16-8」、「-16+8」、「-16-8」となり、ここで「割る2」の処理をすると、「+8+4」、「+8-4」、「-8+4」、「-8-4」第2桁の偶数・奇数には影響がない。
3回目には、「+16+8+4」、「+16+8-4」、「+16-8+4」、「+16-8-4」、「-16+8+4」、「-16+8-4」、「-16-8+4」、「-16-8-4」となり、「割る2」の処理をすると、「+8+4+2」、「+8+4-2」、「+8-4+2」、「+8-4-2」、「-8+4+2」、「-8+4-2」、「-8-4+2」、「-8-4-2」となり、依然として、第2桁の偶数・奇数は同じである。4回目は、「+16+8+4+2」、「+16+8+4-2」、「+16+8-4+2」、「+16+8-4-2」、「+16-8+4+2」、「+16-8+4-2」、「+16-8-4+2」、「+16-8-4-2」、「-16+8+4+2」、「-16+8+4-2」、「-16+8-4+2」、「-16+8-4-2」、「-16-8+4+2」、「-16-8+4-2」、「-16-8-4+2」、「-16-8-4-2」となって、「割る2」の処理を加えると、「+8+4+2+1」、「+8+4+2-1」、「+8+4-2+1」、「+8+4-2-1」、「+8-4+2+1」、「+8-4+2-1」、「+8-4-2+1」、「+8-4-2-1」、「-8+4+2+1」、「-8+4+2-1」、「-8+4-2+1」、「-8+4-2-1」、「-8-4+2+1」、「-8-4+2-1」、「-8-4-2+1」、「-8-4-2-1」のように第2桁の偶数・奇数が反転してしまうことになる。第2桁の偶数・奇数が反転してしまうと、その後のルートが変わって違うタイプに遷移してしまうことになるので、末端の2桁が<1, 0>になる前に、違うタイプへの遷移が発生してしまえば、その新たなタイプからやり直しということになる。
以上の記述は連続で桁上がり・桁下がりが発生した場合を念頭にしているが1回毎に独立して、±16 → ±8 → ±4 → ±2 → ±1と考えてもよい。一度桁上がり・桁下がりが発生すると「割る2」の処理の4回目で第2桁の偶奇の逆転効果が発現することになる。
偶数・奇数の反転によるタイプ遷移の変換は、タイプ1とタイプ9、タイプ5とタイプ13、タイプ7とタイプ15、タイプ3とタイプ11で起こっていることはタイプ遷移図を見ると確認できる。ただし、「割る2」の処理に伴う偶奇の変換が、タイプ遷移内の処理の中で起こるかもしれないタイプ1とタイプ9のときは、(u, 1) | (u, 9)と(u, 5) | (u, 13)の間、(u, 7) | (u, 15)と(u, 3) | (u, 11)の間でも起こり、更にタイプ遷移内の「割る2」の処理が2回行われるタイプ13内の処理では、[{(u, 1) | (u, 9)} | {(u, 5) | (u, 13)}]| [{(u, 7) | (u, 15)} | {(u, 3) | (u, 11)}]の間でも起きる可能性がある。
もう一度タイプ遷移図を確認してみよう。ここで気がつくのは、既に何度か説明したが、タイプ15をルートとしたツリー構造と部分木のツリー構造が相似形になっていることである。ただし、1カ所だけ相似形が左右反転しているところがある。それは、(s, 9)をルートとした部分木と、(s, 13)配下の<t, 12>の配下の部分木の偶奇が反転していることである。
ここからは、第2桁が偶数での分岐を(s, 9)e<t, 14>、奇数での分岐を(s, 9)o<t, 6>のように表現することにする。(s, 9)e<t, 14>-e(u, 7) | o(u, 15), (s, 9)o<t, 6>-e(u, 3) | o(u, 11)となるが、(s, 13)の配下の部分木では、<t, 12>e<u, 6>- e(v, 3) | o(v, 11), <t,12>o<u, 14>-e(u, 7) | o(u, 15)となっている。
相似形の破れについて
(s, 9)をルートとした部分木と、(s, 13)配下の<t, 12>の配下の部分木の偶奇が反転しているのは何故だろうか。
理由は単純である。タイプ別の分岐についてもう一度考えてみよう。
<タイプ9>
3<s, 9> + 1 = <3s, 28>
sが偶数のとき、<3s, 28> → <t, 14>
tが偶数のとき、<t, 14> → <u, 7>
tが奇数のとき、<t, 14> = <t-1, 30> → <u, 15>
sが奇数のとき、<3s, 28> = <3s+1, 12> → <t, 6>
tが偶数のとき、<t, 6> → <u, 3>
tが奇数のとき、<t, 6> = <t-1, 22> → <u, 11>
<タイプ13>
3<s, 13> + 1 = <3s, 40>
sが偶数のとき、<3s, 40> = <3s+2, 8> → <t, 4>
sが奇数のとき、<3s, 40> = <3s+1, 24> → <t, 12>
(s, 9)をルートとした部分木では、e<t, 14> | o<t, 6>で枝分かれしているが、(s, 13)の配下の<t, 12>をルートとした部分木では、e<u, 6> | o<u, 14>で枝分かれしている。これは単に、(s, 9)の「9」と(s, 13)の「13」の違いにすぎない。
奇数分岐の効果の累積について
(s, 13)の配下の<t, 12>まで、第2桁が奇数という状態が3ステップ連続していることに着目してみよう。ここで、<<a2, a1>, a0>という整数について考えてみることにする。<a1, a0>については既に検討しているので、a1の調整が済み、a1が偶数(a0は偶数とする)になっていると仮定する。ここで、a2が奇数で、調整が必要であるという点から話を始めることとする。
最小桁と第2桁が偶数、あるいは第2桁を偶数に調整する必要があればその調整をした後で(ただし、ここまでの調整は既に済んでいることを前提とする)、第3桁の調整を行う。<<a2, a1>, a0>で、a2が奇数の場合は、桁間の調整でa2はa2-1、a1はa1+16、あるいはa2+1、a1-16となる。これを2で割って、第2桁はb1+8、b1-8と表現できる。これを再度3倍して、上の桁からの桁下がり、上の桁への桁上がりを考える。例えば、b1+8の場合は、3b1+24(これはb1+8+16と表すことが出来る)となり、「2で割る」とc1+12となる。これはc1+4+8と表現することもできる。桁上がり、桁下がりを合わせて考えると、c1+4+8、c1+4-8、c1-4+8、c1-4-8となる。ここで、問題なのは「b1」が奇数の場合である。これは、2桁の計算の中で吸収されているはずである。今問題としているのは、第3桁からの桁下がり、あるいは第3桁への桁上がりなので、「b1+8」の「+8」、「3b1+24」の「+24」に着目して議論している。
タイプ間の遷移で、奇数タイプが連続するのは、2回のみであるが、実は、(q, 7)o(r, 3)o(s, 13)の列の末尾の(s, 13)の最初の処理で、(3n+1)/2の処理を1回行っている。c1+4+8に対して3回目の処理を施すと、3c1+12+24となり、これを「2で割る」ことで、d1+6+12となる。他の表現も合わせると、d1+6+12、d1+6-12、d1-6+12、d1-6-12となる。これらは、d1+2+4+4+8、d1+2+4-4-8、d1-2-4+4+8、d1-2-4-4-8と表現することもできる。(q, 7)o(r, 3)o(s, 13)のタイプ間の遷移では、(3n+1/2)の処理が行われ、更に(s, 13)の中でタイプ内の処理が加わる。
では、タイプ内の処理ではどうか。最初の1回は、(3n+1)/2の処理をするが、2回目、3回目は「割る2」の処理だけである。b2が奇数の場合は、b1+8、b1-8は、b1+8+16、b1+8-16、b1-8+16、b1-8+16となり、これらを「2で割る」と、c1+4+8、c1+4-8、c1-4+8、c1-4-8となる。更にc2が奇数なら、「2で割る」処理をすることで、d1+2+4+8、d1+2+4-8、d1+2-4+8、d1+2-4-8、d1-2+4+8、d1-2+4-8、d1-2-4+8、d1-2-4-8となる。
これから見えることは、タイプ間での(3n+1)/2の処理と、タイプ内での「割る2」の処理では、結果がとても良く似ていることである。タイプ間での処理と、タイプ内での処理の効果が累積すると考えてみよう。(3n+1)/2の処理を3回続けて、次にタイプ内の処理を加えてみよう。
e1+1+2+2+4+8、e1+1+2+2+4-8、e1+1+2+2-4+8、e1+1+2+2-4-8、e1+1-2-2+4+8、e1+1-2-2+4-8、e1+1-2-2-4+8、e1+1-2-2-4+8、e1-1+2+2+4+8、e1-1+2+2+4-8、e1-1+2+2-4+8、e1-1+2+2-4-8、e1-1-2-2+4+8、e1-1-2-2+4-8、e1-1-2-2-4+8、e1-1-2-2-4-8となる。
「2で割る」処理をする際の、上の桁の奇数を偶数に調整するために下の桁への「+16」の桁下がり(a2-1、a1+16)、下の桁からの桁上がり(a2+1、a1-16)の効果が累積する。このことが、<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>の計算結果が、<1, 7>の計算結果と次第に合わなくなってしまう原因である。つまり、<1, 7>にコラッツ操作を繰り返すと、やがて1に収束するという証明が、<<<<2, 6>, 7>, 1>, 7>にはそのままでは適用できないということになる。
タイプ間での(3n+1)/2の処理と、タイプ内での「割る2」の処理は、奇数分岐の累積による効果という点について言えば全く同じである。しかも、それは必ずしも連続している必要はない。ということになると、このような奇数効果の蓄積は、タイプ遷移図上でいくつも確認することが出来る。
第2桁の偶奇が逆転するという現象が起これば、2分木の分岐の部分が逆になってしまう。
第3桁からの影響と、第4桁からの影響、第5桁からの影響、更に上の桁からの影響がどんどん第2桁まで下りてくることになる。もちろん、第3桁からの影響と比べると、第4桁からの影響は単純に計算すると1/16となっている。更に、第5桁からの影響は1/256となるだろうと思われるが、しかし1に収束するまでのコラッツ操作が何百回、何千回、何万回、何億回になると予測すると決して小さな値ではない。
第3桁が奇数の影響が4回分累積すると、第2桁の偶奇が反転してしまうが、偶奇が反転しても、その後1回分は枝分かれによる拡大縮小の倍率は同じである。つまり、3回目までは偶奇が反転しないが、4回目で反転する。しかし、4回目は枝分かれしたとしても、拡大縮小の割合が同じなので、4回目までに1に収束してしまえば、末尾の2桁が同じ2桁の整数と、第3桁の整数は同じ倍率で収束することになる。
ここで、第3桁が奇数である場合に、その効果がどれ位のコラッツ操作で4回分(3回分+1回分)蓄積してしまうかを確認してみた。その計算結果は次の通りである。タイプ遷移図上のどのようなルートを通るかで、(3n+1)/2(第3桁では+1は影響ないので、表の中では「3n/2」と表現している)と「割る2」(表の中では「/2」と表現している)の出現順と割合が異なるので、結果は微妙に異なるが、最も短い(全部奇数)場合が「4」で、割合は、4つのルートを検証したところ、3つのルートで0.07、残りの1ルートで0.06であった。4回連続で奇数が続くのはまれではあるが、否定することはできない。5回以上続くのが、0.93~0.94ということになる。平均的には、7~8で、最も長く続くのが3つのルートで12回、残りのルートでは11回であった。つまり、平均的には奇数累積の効果が発現するまでには7~8回程度のコラッツ操作ができ、12回出来る場合もあったということである。
2桁の整数に対してコラッツ操作を施した時に如何にして1に収束するかについては既に示したが、そこでは証明済みと言えるまでに何回の「3n/2」と「/2」をしているかについても同時に示している。その中で証明済みと言えるまでに「3n/2」と「/2」の合計数が4回以下のものが90個、5回のものが8個、6回のものが4個、7回のものが2個、8回のものが3個あった。90/128(正確には90/127であるが、計算を簡略化するために分母を128にして計算している。以下の計算では断りなしに、分母を128とすることがある)が奇数の調整効果が第2桁の偶奇に影響を与える前に証明済みの値にまで縮小していることになる。つまり、第3桁が4回連続で奇数という極めてまれな状況でも、90/128の割合で証明済みの整数にまで縮小してしまうということである。通常の場合は、少なめに見積もっても5~6回程度の「割る2」の処理をすることが出来る。これは102/128≒25/32程度ということになる。平均的には7~8回程度「割る2」の処理をすることが出来るが、その場合は107/128≒26/32程度は証明済みの整数にまで縮小してしまうことになる。
末尾2桁が同じ2桁の整数と、3桁の整数のペアをバスと乗客に例えると、乗客は「2で割る」処理を行う際の「微調整の効果が累積して第2桁の偶奇」を反転するまではそのバスに乗り続け、第2桁の偶奇が反転したら(+1だけ遷移して、つまり次のバス停で)違うバスに乗り換えると考えることにしよう。もちろん、偶奇が反転する前でも目的地(つまり、証明済みの整数)に到達したらそこでバスをおりることにする。このように考えると25/32程度は最初に乗ったバスを降りた時点で、目的地には到達していることになる。違うバスに乗り換えると言ったがもちろん末尾2桁が自分と同じバスに乗らなくてはならない。この時、7/32程度は拡張しているということに注意しなくてはならない。2回目の「奇数効果累積前の一連の連続試行のセット」で、2桁の整数が証明済みの整数にまで縮小、つまりバスが目的地に到着しても、乗客にとっては思った通りの結果ではないかも知れない。1回目の「奇数効果累積前の一連の連続試行のセット」で到着したバス停にまで戻って来ただけかも知れないのだ。更にもう一度、違うバスを探さなくてはならないのだろうか。
2桁の整数と3桁の整数のペアは、同じルートを辿るのでその間の拡張率は同じである。「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」で証明済みの整数にまで辿り着けなかった7/32については、どれだけ拡張してしまったかが重要である。2桁の整数が拡張してしまったとしても、まだ2桁である限りは、3桁の整数もまだ3桁の範囲内にとどまっている。この場合には、7/32のうちの25/32は2回目の「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」で目的地に到達することが出来る。しかし、2桁の整数が3桁、あるいは4桁の整数にまで拡大しているなら、ペアになっている3桁の整数も、4桁あるいは5桁の整数にまで拡大してしまっているはずである。こうなると2回目の「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」で目的地に到達することは難しい。なぜこのような言い方をするのかというと、証明済みの値にまで収縮するのに4回、5回、6回、あるいは7回、8回の「割る2」の処理ができるはずであるが、1回、2回、3回の「割る2」の処理をするまでに証明済みの値にまで縮小してしまう場合は、能力を十分に使っていないことになる。まだ余力がある。2回目の「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」で証明済みの値にまで縮小できないとしても、まだ余力があるのなら、その余力を使うことが出来る。しかし、それでも拡張してしまう場合がある。これについては、もっと詳細な検討が必要となる。
2桁の整数と3桁の整数のペアの収束
2桁の整数の収束については既に説明したが、そこではコラッツ操作何回で1に収束したか、証明済みの整数にまで縮小するのに何回コラッツ操作をしたか、何回「割る2」の処理をしたかについて検証した。しかし、それだけでは足りない。1回目の「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」で証明済みの整数にまで縮小することが出来なかったとしても、2桁のままの状態であるなら、2回目の「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」内で証明済みの整数にまで縮小するかどうかについては、1回目と全く同じ条件で行われることになる。
「奇数効果が発現して第2桁の偶奇が逆転する前の一連の連続試行のセット」(長いので、これ以降は「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」と言う)の間にどのように拡張しているのかについて、証明済みの整数に到達するまでに9回以上の「3n/2」あるいは「/2」の処理を必要としたものについて具体的に検討することにする。9回以上の「割る2」の処理を必要としたものは具体的には127-107=20個ある。この20個の2桁の整数について調べることとする。
20個の整数とは次の通りである。<1, 11>, <1, 15>, <2, 15>, <3, 15>, <4, 7>, <5, 11>, <6,7>, <6, 15>, <7, 11>, <7, 15>, <9, 11>, <9, 15>, <10, 7>, <11, 15>, <12, 7>, <12, 15>, <13, 15>, <14, 15>, <15, 11>, <15, 15>。これらの整数について、順次詳細に調べることとする。
<1, 11>はコラッツ操作13回まで2桁の整数で、3桁に拡張するのは14回目で、その間に「3n/2」を13回、「/2」を5回行っている。
<1, 15>はコラッツ操作12回までは2桁の整数で、その間に「3n/2」を12回、「/2」を4回行っている。
<2, 15>はコラッツ操作11回までは2桁の整数で、その間に「3n/2」を11回、「/2」を4回行っている。
<3, 15>はコラッツ操作4回までは2桁の整数で、その間に「3n/2」を4回、「/2」を0回行っていて、3桁の整数が2つ続いた後、その後直ぐにまた2桁の整数に戻ってコラッツ操作が6回続く間2桁整数のままで、その間に「3n/2」を6回、「/2」を2回行っている。
<4, 7>はコラッツ操作10回までは2桁の整数で、その間に「3n/2」を10回、「/2」を4回行っている。
<5, 11>はコラッツ操作6回まで2桁の整数で、その間に「3n/2」を6回、「/2」を2回行っている。
<6,7>はコラッツ操作4回までは2桁の整数で、その間に[3n/2」を4回、「/2」を1回行っている。
<6, 15>は2桁の整数として続くのはコラッツ操作3回までで、その間に「3n/2」を3回、「/2」を0回行っており、その後は証明済みの値に縮小するまで16回連続で3桁の整数で推移している。
<7, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに5回のコラッツ操作を行っていて、その間ずっと2桁の整数として推移している。そして、その間に「3n/2」を5回、「/2」を4回おこなっている。
<7, 15>は最初の2回だけ2桁で、その後3桁の整数が6回続き、証明済みの整数にまで収縮する直前の1回だけ2桁に戻る。
<9, 11>は最初のコラッツ操作3回までが2桁で、その後3桁が4回続き、その後2桁が2回、その後3桁の整数が16回続いている。
<9, 15>は最初のコラッツ操作2回が2桁の整数で、後16回3桁の整数が続く。
<10, 7>は最初の2回2桁の整数が続き、その後16回3桁の整数が続く。
<11, 15>は最初の1回だけ2桁で、その後6回3桁が続き、証明済みの整数にまで縮小する直前に2桁の整数となっている。
<12, 7>は最初の1回だけ2桁で、その後3回3桁が続き、証明済みの整数にまで縮小する直前に2桁の整数となっている。
<12, 15>は最初の1回だけ2桁で、その後6回3桁が続いている。
<13, 15>は最初の1回だけ2桁で、その後23回3桁が続いている。
<14, 15>は最初の1回だけ2桁で、その後11回3桁が続いている。
<15, 11>は最初の1回だけ2桁で、その後21回3桁が続いている。
<15, 15>は最初の1回だけ2桁で、その後6回3桁が続き、証明済みの整数にまで収集くする直前には4桁の整数になっている。
「3n/2」と「/2」の処理を5~6回行うまで、つまり「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」の間にずっと2桁のままだという<1, 11>, <1, 15>, <2, 15>, <3, 15>, <6, 7>, <6, 15>の6個については、たとえ2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」だとしても証明済みの値にまで収縮してしまう。残りは、14個である。2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」で、ペアになった2桁の整数が証明済みの値にまで収縮しても、3桁の整数は1回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」の終わりの時点にまで戻っただけで、証明済みの値にまでは収縮していない可能性が高い。その場合でも、まだ能力を使い切っていない場合があるので、それを使い切るべきである。それでも、ある整数についてはまだ証明済みの値にまで戻ることが出来ない。3回目も同じ条件で計算は行われる。今までに証明済みの値にまで収縮できたのは107 + 20 x 6/20 x 107/127 = 107 + 20 x 0.25 = 112。4回目は112 + 15 x 0.25 = 115。5回目は115 + 12 x 0.25 = 118。6回目は118 + 9 x 0.25 = 120。7回目は120 + 7 x 0.25 = 121。8回目は、121 + 6 x 0.25 = 122。9回目は122 + 5 x 0.25 = 123。10回目は123 + 4 x 0.25 = 124。11回目は、124 + 3 x 0.25 = 125。12回目は125 + 2 x 0.25 = 125.5。13回目は125.5 + 1.5 x 0.25 = 125.8。13回目は125.8 + 1.2 x 0.25 = 126.1。14回目は126.1 + 0.9 x 0.25 = 126.3。15回目は126.3 + 0.7 x 0.25 = 126.4。16回目は126.4 + 0.6 x 0.25 = 126.5。17回目は126.5 + 0.5 x 0.25 = 126.6。18回目は126.6 + 0.4 x 0.25 = 126.7。残り1つ以下になったので計算を終える。これで全部が証明済みの整数にまで縮小したと言える。実際には能力をいっぱいいっぱいに使い切ることや、3桁の整数に拡大した後に2桁に戻ったという場合なども考慮に入れると、もう少し回数的には少ない可能性がある。また、20個の例の中で途中で4桁にまで拡大したのは1回だけだったことを考えると、極端に拡大すると言っても16~256倍程度のもので、256倍までには至らないということが分かる。
1回の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」でどれくらいの「2で割る」処理が行われるかは概算で8回程度と見積もった。そして、その間に行われるコラッツ操作を5~6回と想定すると、11回目までには50回~70回程度のコラッツ操作、「割る2」の処理は90回程度となる。
以上の計算は第3桁が4回分累積するまでに「割る2」の処理は、確実な場合は4回、少なめに見積もっても5~6回程度で、平均的には7~8回程度という前提で計算した。しかし、今度は極めてまれな状況であるとはいえ(0.06~0.07の割合)、奇数が連続的に4回連続で出現してしまうという前提でも成り立ちうる計算をしてみたい。5~8回「割る2」の処理をするものは全部で17通りある。これについて、具体的に検証を行う。5回のものは<2, 7>, <2, 11>, <3, 7>, <6, 11>, <7, 7>, <10, 11>, <14, 11>, <15, 7>の8個、6回のものは<0, 11>, <4,15>, <8,11>, <11, 7>の4個、7回が<0, 7>, <11, 11>の2個、8回が<10, 15>, <13, 11>, <14, 7>の3個ある。
<2, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに5回のコラッツ操作を行っていて、その間ずっと2桁の整数として推移している。そして、その間に「3n/2」を4回、「/2」を1回おこなっている。
<2, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、その間ずっと2桁の整数として推移しており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<3, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、その間ずっと2桁の整数として推移しており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<6, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、その間ずっと2桁の整数として推移しており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<7, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに4回のコラッツ操作を行って、最初の2回は2桁の整数で、その後1度3桁の整数となり、最後の1回はまた2桁の整数に戻っており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<10, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後1度3桁の整数となり、最後の1回はまた2桁の整数に戻っており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<14, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後2回は3桁の整数のままであり、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<15, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後2回は3桁の整数のままであり、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<0, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、その間ずっと2桁の整数として推移しており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を3回行っている。
<4,15>は証明済みの整数にまで縮小するまでに5回のコラッツ操作を行って、最初の3回は2桁の整数で、その後1度3桁の整数となり、最後の1回はまた2桁の整数に戻っており、その間に「3n/2」の処理を4回、「/2」の処理を2回行っている。
<8,11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、その間ずっと2桁の整数として推移しており、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を3回行っている。
<11, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに3回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後2回は3桁の整数のままであり、その間に「3n/2」の処理を3回、「/2」の処理を2回行っている。
<11, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに4回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後3桁、2桁、3桁と推移しており、その間に「3n/2」の処理を4回、「/2」の処理を3回行っている。
<0, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに4回のコラッツ操作を行って、その間ずっと2桁の整数として推移しており、その間に「3n/2」の処理を4回、「/2」の処理を3回行っている。
<10, 15>は証明済みの整数にまで縮小するまでに5回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後4回は3桁の整数のままであり、その間に「3n/2」の処理を5回、「/2」の処理を3回行っている。
<13, 11>は証明済みの整数にまで縮小するまでに5回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後3桁、2桁、3桁、3桁と推移しており、その間に「3n/2」の処理を5回、「/2」の処理を3回行っている。
<14, 7>は証明済みの整数にまで縮小するまでに7回のコラッツ操作を行って、最初の1回は2桁の整数で、その後6回は3桁の整数のままであり、その間に「3n/2」の処理を6回、「/2」の処理を2回行っている。
以上の2桁の整数で「割る2」の処理を4回行う間ずっと2桁の整数のままであるものは6個ある。これについては、2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」でも証明済みの整数にまで縮小するはずである。残りの11個はどうか。最初は2桁であるが、一旦3桁になり、また2桁に戻るというものがあるが、4回目に2桁に戻っている場合については2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」でも証明済みの整数にまで縮小すると考えるとどうなるか。最初は2桁であるが「割る2」の処理4回目の段階で3桁になっているものは拡張してしまうので、2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」では、2回目の出発点にまでもどるだけと考えるしかない。これが5個ある。問題は、2桁、3桁、2桁を繰り返す場合である。このうち<10, 11>は最初は2桁で、次に3桁になり、3回目で2桁になって、ここで証明済みの整数にまで縮小してしまっている。また、<7, 7>は最初の2回が2桁で、3回目が3桁、4回目が2桁となっている。これに対して、<11, 11>は2桁、3桁、2桁、3桁と推移し、4回目が3桁になる。<13, 11>も2桁、3桁、2桁、3桁、3桁と推移し、4回目が3桁に該当する。微妙なのが<4, 15>である。<4, 15>は2桁、2桁、2桁、3桁、2桁と推移して証明済みの整数にまで縮小している。多くの場合は5回目までなら奇数効果の累積が効果を発揮するまでには至らないと言えるが、ここは4回までと限ったので、この場合は除外することにする。そうすると、2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」でも証明済みの整数にまで縮小すると考えることが出来るのは、17個のうち9個と言うことになる。
更に、先ほど確認した、5~6回行うまで、つまり「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」の間にずっと2桁のままだという<1, 11>, <1, 15>, <2, 15>, <3, 15>, <6, 7>, <6, 15>に関しては、4回まででもそうなのかを確認しなければならない。<1, 11>は14回, <1, 15>は12回, <2, 15>は11回それぞれ2桁が続くので問題はない。<3, 15>は2桁が4回続いてその後に3桁が2回、その後再び2桁が6回続いている。<6, 7>は2桁が4回続いてその後に3桁が3回、その後再び2桁が2回続いている。これについては、4回目が2桁ということである。<6, 15>は2桁が3回続いて、その後16回3桁が続いているのでこれは除外するしかない。こう考えると、2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」でも証明済みの整数にまで縮小すると考えることが出来るのは全部で9+5=14個となる。
「3n/2」と「/2」の処理を4回行うまで、つまり「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」の間にずっと2桁のままだというのは、127-90=37のうちの14個ということになるので、残りは23個である。2回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」で、ペアになった2桁の整数が証明済みの値にまで収縮しても、3桁の整数は1回目の「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」の終わりの時点にまで戻っただけで、証明済みの値にまでは収縮していない可能性が高い。その場合でも、まだ能力を使い切っていない場合があるので、それを使い切るべきである。それでも、ある整数についてはまだ証明済みの値にまで戻ることが出来ない。
今までに証明済みの値にまで収縮できたのは90 + 37 x 14/37 x 90/127 = 90 + 37 x 0.27 = 100となる。3回目も同じ条件で計算は行われる。100 + 27 x 0.27 = 107。4回目は、107 + 20 x 0.27 = 112。5回目は、112 + 15 x 0.27 = 116。6回目は116 + 11 x 0.27 = 119。7回目は119 + 8 x 0.27 = 121。8回目は121 + 6 x 0.27 = 122。9回目は、122 + 5 x 0.27 = 123。10回目は、123 + 4 x 0.27 = 124。11回目は124 + 3 x 0.27 = 125。12回目は125 + 2 x 0.27 = 125.5。13回目は125.5 + 1.5 x 0.27 = 126。14回目は126 + 1 x 0.27 = 126. 2。15回目は、126.2 + 0.8 x 0.27 = 126.4。16回目は126.4 + 0.6 x 0.27 = 126.5。17回目は126.5 + 0.5 x 0.27 = 126.6。18回目は、126.6 + 0.4 x 0.27 = 126.7。後は気が済むまで計算すればよい。残りの数が1以下になっているので、1つ残らず証明済みの整数にまで収縮したと言える。実際には能力をいっぱいいっぱいに使い切ることも考慮に入れると、もう少し回数的には少ない可能性がある。「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」18回で全ての3桁の整数が証明済みの値にまで縮小したことが分かる。ここでは、正確を期すために「奇数効果発現前の一連の連続試行のセット」の間に第3桁が連続して奇数だという前提で計算を行ったが、奇数効果が4回分累積するまでに、実際は7~8回程度「割る2」の処理をしているはずである。その時のコラッツ操作の回数は概ね5~6回程度だと考えると、多くてもコラッツ操作90回程度の間には全ての3桁の整数が証明済みの値にまで縮小すると考えることが出来る。
2桁の整数と4桁の整数のペアの収束
3桁の整数が全て1に収束することが分かれば次は4桁の整数である。4桁の整数は自分の末尾2桁と同じ2桁の整数のペアを見つけて、それをバスに見立てて目的地を目指して乗り継いでいけばよい。
その前に、桁上がり、桁下がりではない元々の第2桁の偶数奇数について考えておくことにする。第3桁を「2で割る」処理をする時の調整弁として、第2桁に+16が桁下がりしてきたり、第2桁から第3桁への桁上がりとして、第2桁が-16されたりすることに焦点を当ててきたが、元々の第2桁の偶数奇数についてはどのように考えるべきか。元々偶数ならそのまま微調整をせずに割ることが出来、結果が偶数か奇数かは五分五分である。元々奇数なら微調整をすることで割り算をして結果が偶数か奇数かはこれも五分五分となる。つまり、元々の第2桁の偶数か奇数かは五分五分であり、その後「割る2」の処理をしても偶数か奇数かは五分五分となる。つまり、元々第2桁の偶数か奇数かについては問題とする必要がないことになる。第3桁の調整のための、第2桁への+16、あるいは-16という影響は、「16」という数字の、3回割っても偶数で、4回目に1になるという16に特有な性質に由来していることになる。
「2で割る」処理の際の第4桁の調整のために第3桁にその効果がたまっていくがこれについては全く問題がない。第4桁の調整のために第3桁にその調整の効果が蓄積されそれが4回分たまると第3桁の偶奇が逆転するがそのこと自体は第2桁の偶奇には全く関係しない。第3桁の偶奇が逆転すると、第3桁が奇数のために「2で割る」際の調整が必要だった時に偶数になるので調整が必要なくなる。また、その反対に第3桁が偶数であるために調整の必要がないはずのところが突然調整の必要が生じてしまう。第4桁の奇数の連続がどれ位かはその第4桁の最初の値によって異なるが、最悪の場合は4回目で長い場合は11回目、平均的には7~8回の「2で割る」処理の後に第3桁への奇数効果が発現することになるが、この時第2桁への影響(第2桁が+16、あるいは-16される)が「割る2」処理1回分だけ、早まるか、遅れるかの違いに過ぎず、どのどちらかになるかは五分五分であり、その違いは何度か繰り返すことで必ずプラスマイナスゼロとなる。また、早まると言っても4回連続で奇数が続くというのが最悪の状態でそれ以上になることはない、しかも3桁と2桁のペアでの考察は最悪の4回連続奇数の場合でも成り立つ前提で証明方法を設計しているので、この場合も問題はない。従って、第3桁の偶奇が逆転すること自体が第2桁の偶奇に影響を与えることは全体としては全くないと言える。ルートの分岐についても全く影響はない。つまり、4桁整数とその末尾2桁が同じ2桁の整数のペアと、3桁と2桁の末尾2桁が同じペアでは第2桁への奇数効果の蓄積という点からは全く同じことが言えるということになる。従って、3桁の整数と2桁の整数のペアについて言えたことが、そのまま4桁と2桁のペアについて言えることになる。
同じことが5桁の整数と2桁の整数の下2桁が同じペアについても言え、5桁の全ての整数についても証明済みの整数にまで縮小することが言える。以下同様に、6桁、7桁、8桁の整数についても言える。たとえどんなに大きな整数であっても、その整数と下2桁が同じ2桁のペアについて同じことが言える。従って、どんなに大きな整数でも、それが有限な整数である限り全て証明済みの整数にまで縮小すること、更に1に収束することが言える(証明終わり)。
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