子音に母音で始まる語が続くと「連結」が生じ、同じ音が続くと「くっつき」ますが、違う音が続くと、前の音は脱落しやすくなります。これは、子音で終わっている語には「寸止め」のルールが働いているのですが、違う音が続いた場合は復活せず、消えたままと考えても構いません。ただ脱落と言っても、その口の形で終わっている状態で、違う音が続くのですから、続く子音の音は若干前の子音の影響を受けていると考えてください。
前の子音が寸止めでない時も、違う子音が続いて、その結果脱落することもあります。
特によく脱落が起こるのが”t”
●get ready→ゲレディ
●meet me→ミー・ミー
●at seven→ア・セヴn
●help me→ヘル・ミー
●looking forward→ルッキン・フォーワーd
●must be→マス・ビー
●connecting flight(乗り継ぎ便)→コネクティン・フライt
●like broccoli→ライ・ブロッコリー
●give me→ギミ
●first step→ファース・ステップ
wの前の”t”はほとんどいつでも落ちる
●but we→バッウィ
●it was→イッワズ
●what was→ワワズ
●what would→ワァウd
“t(d)”+弱母音+”n”の時の”t(d)”は落ちやすい
この場合は弱母音が欠落し、更に”t(d)”の音が消えることがある。
sentence(センテンス、文)→sentnce→sen(n)nce(セ(ン)ヌンス)
button(ボタン)→buttn→bu(tt)n(ぼ(タ)n)
important(インポータント、重要な)→importnt→impornt(インポー(ラ)nt)
nの後の”t”や”d”は落ちやすい
nの後のtやdが落ちやすいことにも注意が必要です。特に”nt+弱い母音”の形の時によく落ちます。ただし、しゃべっているネイティブは頭の中では省略しているつもりはないようなので、tがnに置き換わったような感じになります。
center(センター)→cenner(セnナ―)
documentary(ドキュメンタリィ、文書の)→documennary(ドキュメnナリィー)
enter(エンター)→enner(エnナ―)
internet(インターネット)→innernet(イnナーネット)
plenty(プレンティ)→plenny(プレnニィ)
twenty(トゥエンティ、20)→twenny(トゥエnニィ)
“t”の場合は、後ろに母音が続く時にも脱落が発生することがある。
後ろに母音が続く時は基本的には連結が発生するのですが、”t”で終わっている語に、母音が続く時は脱落が発生することが例外的にあります。これは”t”だけの現象で、少し厄介です。
●went out→ウェナウゥ
今まで説明したルールではwentの”t”が寸止めで、後に母音で始まる語が続く時は、連結は発生し、”t”の音が復活して、tou(タウ)となりそうですが、”t”の場合はそうならないことが多いのです。
●wanted to→ウネットゥ
wantは”t”が寸止めで、母音で始まる「ed」が続くことで、”t”が復活して「ウォンテッド」となると思いきや、そうはなりません(もちろん、日本の中学校の先生の発音が間違いだと追及するのは止めてください。あれはあれで正しいのです。でも、ネイティブの発音は違うということです)。そして、wantedの”d”は寸止めになります。ですから、「ワニ(d)、ワネ(d)」となります。これに、子音のtoが続くのですが、”d”は消えたままになりますので、wante(d) toは「ワニトゥ、ワネトゥ」となります。さらにtoが「ta」更に「da」まで変形すると、全体としては「ワニダ」となります。実はこれが最も一般的で、正統な(しかも由緒正しき)ネイティブ発音なんです。
l(エル)の前の”t”と”d”は落ちやすい
前のブロックで、tの後ろに母音が続く時は落ちやすいことを学びましたが、子音の中でも”l(エル)”は特に強く発音する音なので、l(エル)に続くtやdは落ちやすくなります。ただし、ネイティブはそのtやdを脳内の処理ではしゃべっているつもりになっているようなので、一瞬の間があります。
exactly(エグザクトリィ、正確に)→exactly(イグザク リィ)
honestly(オーネストリィ、正直に)→honestly(オーネス リィ)
repeatedly(リピーテッドリィ、繰り返し)→repeatedly(リピーテ リィ)
次は、あいまい音の消失について説明します。
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