英語やフランス語などの西欧系の言語は単語と単語をひっつけて発音します。基本的には、カンマによる一区切りや、文章全体を1つの単語のようにひとつながりで発音するのが基本です。これは、中国語や、韓国語でも同じです。日本語のように一つ一つの単語を独立して発音する言語は実は珍しいようです。
このような現象はリエゾン(liaison)と呼ばれます。この呼び方は元々はフランス語から来ています。英語ではリンキング(linking)と呼ぶのが一般的です。
リンキングの法則に則ってしゃべらないと相手に意味が伝わらないということはありませんが、聞いている方からすると何となく拙い英語に聞こえてしまいますし、聞き取りにくいということもあるようです。ネイティブ同士では流ちょうな英語をしゃべりますので、このリンキングの現象が頻繁に発生します。日本に来て英語の授業のアシスタントをしている先生は、多分無理をしてリンキングを使わないようにしているのだと思います。日本の英語学校の先生もそうです。英語教材の先生の発音もそうだと思います。皆さん無理をして、わざわざアメリカのネイティブ英語を話さないように苦労しているんだと思います。それはとっても苦痛なことなんですね。でも、アメリカに変えればもちろん流暢な英語をしゃべります。例えば、日本で英語教育を受け、英語でいい点数を取っていた人も、アメリカに行くと何をしゃべっているのか分からなくなります。自分が今まで勉強してきた英語は何だったんだと思うはずです。
英語に慣れると当然流暢な英語をしゃべれるようになりますが、日本人の英語学習者が自分勝手にリンキングを始めると、聞いているネイティブは首をかしげてしまうでしょう。リンキングには約束事がありますので、この約束事を英語学習の早い段階から身につけるように心がけてほしいと思います。
ネイティブ(native=生まれながらに英語を話している人)は、発音のしやすさや、時間の短縮などの理由で、単語の音声を変化させています。
脳の聞き取るメカニズムは、脳の中に予め入っている音と、耳から聞こえてくる音が一致するかで聞き分けています。だから、自分の覚えた発音がネイティブに近いほどよく聞き取れるということになります。自分の覚えた音とネイティブのしゃべる音があまりにも違うと、頭の中に蓄えられている音と一致しないので、脳は何が何だか分かりません。その結果、聞き取りができないということになります。
ネイティブ発音が聞き取れるようになるには自分の発音をネイティブ発音に近づけて練習して、ネイティブ発音になるべく近い音を頭の中にインプットしておく必要があります。ネイティブ発音に近い音をたくさん蓄えるには、実際にネイティブがしている発音をたくさん練習することです。
ネイティブ発音の練習を繰り返すと、ネイティブ発音が聞き取れるようになります。
では、ネイティブはどうやって発音しているのでしょうか。勝手に音声を変化させていては、聞いている人には何が何だか分かりません。話す人と聞く人の間に了解がなくては話は聞き取れないのです。つまり、発音を変化させるのは、いい加減にやっているのではなく、一定の規則に従って、やっていることなのです。この規則を覚えてしまって、後はその規則に従って練習すればいいんです。
ネイティブの音声変化の規則は、/tの音の変化/寸止め/連結/同じ子音がくっつく/子音の脱落/hの消失/短縮/あいまい音の消失/などです。
英語では「t」はとても変わりやすい音です。一番変化しやすい音と言ってもいいでしょう。”t”の音はほとんど”d”の音になります。更に日本語の「ラ行の音」に近い音に変化します。では、最初に「tの音の変化」について説明します。
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